『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』
『三味線がギターに変わった日ギターは黒船とともにやってきた。』
ギターが、明治時代にはじめて日本に伝わり、根付いていくまでの様子を描く。当時の貴重な歴史はもちろん、行なわれたコンサートや残されている書物・手紙などから先人たちの心の動きまでも読み取れる一冊。
さらに近代日本の西洋音楽史についてもふれ、ギター史と西洋音楽史の両方にとって貴重な本。
日本人にとって「三味線がギターに変わった日」。
【『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』目次】
《 第1章 ギター渡来前史 》
・近代日本の「西洋音楽」は、黒船の上で聴いたアメリカ音楽から始まった
・日本人とギターの前身との出会いは、キリシタン弾圧の中で消えて行った
・「ミンストレル・ショー」に興じた幕末の武士たち
・アメリカからギターを持ち帰って弾いた平岡熈の壮大な仕事
・すべては比留間賢八の精力的なマンドリン普及から始まった
《 第2章 西洋音楽が街にやってきた 》
・日本人が最初に聴いたモーツァルトは、吹奏楽の演奏だった。
・画学生だった菅原明朗が作曲家への道に踏み出すまで
・ロンドンから帰国した青年・太田黒元雄のサロンが拓いた世界
・『音楽と文學』の創刊と「東京音楽学校」への反撥
・「浅草オペラ」と「セノオ楽譜」、そして「楽譜絵葉書」
・本物のオーケストラ結成で変わる「吹奏楽」と「マンドリン合奏」の役割
《 第3章 ギターに魅せられた人々と、セゴビアの奇跡(中扉) 》
・イタリアの街角でギターの音色に魅せられた武井守成の帰国
・サルコリの指導で明らかになった独奏楽器としてのギター
・「演奏家」として挫折してしまった人々
・セゴビア来日を待つ日本の若きギター愛好家たち
・ついに実現した「セゴビア来日」は、第二の「黒船襲来」に匹敵した
・流行歌作家・佐藤惣之助をめぐる二人のギター青年の「人生劇場」
《 第4章 武井守成とマンドリン・オーケストラ 》
・マンドリン合奏コンクールを創設した武井守成の情熱
・演奏家として挫折した武井守成が「作曲家として」生きた半生
・作曲家・武井守成の作風についての菅原明朗の指摘が伝えるもの
《 第5章 幻のギタリスト池上冨久一郎 》
・黎明期のギター奏者、池上富久一郎と武井守成の出会い
・デタラメか? 天才か? 武井を困惑させた作曲家池上の全貌
・ついに明かされた池上冨久一郎の「ギター曲」を聴く
《 第6章 大河原義衛の早すぎた死と、沢口忠左衛門 》
・大河原義衛の早すぎた死を悼む人々
・大河原義衛の作品を出版した「仙台アルモニア」の活動
・大河原の残したものを受け継いだ沢口の死期を早めたもの
《 第7章 小倉俊と中野二郎の執念と、その成果 》
・大河原への同志的共感を持った小倉俊
・小倉俊の「ギターの音」へのこだわりが日本的和声の探求に連なった
・「楽譜が私の師」と言う中野二郎の収集した楽譜の行方
《 第8章 戦争で失われた未来と、新たに芽吹いた響き 》
・若くして戦死した悲劇のギタリスト小栗孝之と深沢七郎を繋ぐ小倉俊
・空襲の被害から守られた武井守成の厖大なコレクション
・小船幸次郎が解明したセゴビアのギターの秘密とその継承
・『黎明期の日本ギター曲集』をめぐる「忘れ残りの記」
[出版社]ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス/公開日2010/12/22
■著者について
竹内 貴久雄(たけうち・きくお)[Kikuo Takeuchi]
音楽文化史家、音楽評論家、書籍編集者。1949 年生まれ。
詳細な調査を行なって解説したCD『黎明期の日本ギター曲集』(演奏:山下和仁、日本クラウン)が文化庁主催芸術祭大賞を受賞して以来、近代日本の西洋音楽受容史に深く関心を持って研究を続けている。
レコード・CD コレクターとしても著名で、その収集の成果は、演奏スタイルの変遷を踏まえたクラシック音楽評論として、独自の視点を示している。
著書に『唱歌・童謡100の真実』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)、『コレクターの快楽―クラシック愛蔵盤ファイル』(洋泉社)、共著に『名曲への旅』(音楽之友社)、『クラシック反入門』(青弓社)、編著に『クラシック名曲名盤事典』(ナツメ社)、『歴伝・洋楽名盤宝典―精選「LP
手帖」月評』(音楽出版社)ほか。
CD 解説も、演奏史を踏まえた視点から多数執筆している。
m(__)m 上記はすでに「絶版」になってるようで、現在販売されているのは「ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史」になっています。
YAMAHA2022-05-27_02