Itsukushima Perry

Book Introduction: History of Japanese Guitar Music書籍紹介:日本ギター音楽史


『日本ギター音楽史』に関しては、古い情報雑誌で、武井守成氏が発刊された『マンドリン、ギター及其オーケストラ:単行本』 で『本邦斯界過去現在』において1925年代までのギター界の作成はあるものの、それ以後のギター音楽史に関しては未作成だったので、「其の後」を編纂しようと考えた澤口忠左衛門 氏は雑誌「アルモニア」に「日本ギター音楽史 」の募集記事を懸賞付きで掲載しました。
然しながら、期限の3か月間が経っても、応募が一通も無かったことで作成を諦めました。

以下に「日本ギター音楽史」募集記事ならびに編纂の中止記事を掲載するとともに、関連書籍紹介として 『マンドリン、ギター及其オーケストラ:単行本』:武井守成、 『ギターとその智識』著者:小原安正、 『ギタリストの余韻』著者:小原安正、 『写真で見る日本ギター史』発行:現代ギター社(安達右一・監修)、 『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』著者:竹内 貴久雄、『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』著者:竹内 貴久雄。の著書を掲載いたします。



[*転記]:digitalguitararchive/1939-74-Armonia P.66
原稿募集に就いて:アルモニア主幹 澤口忠左衛門[Chuzaemon Sawaguchi]
近時我が邦に於けるギター音楽の異常な発達を見るにつけても、然る現状に導いたところの、先輩諸氏の大きな努力を忘れてはならない。
我がギター音楽はより多く将来への希望が大きいのであらうが、過去に於いて如何にギターが受入れられ、如何にギターが我が国人にありしか、我らの国民性に対して如何なる関係を作りしかなどの生ける記録を、ギターに於ける生ける記録を、ギターにおける諸先輩への尊敬と共に一応我らの手にて作る事は、現時我らギターに生きる者の責務の一つではなからうか。
或いは世に出でざる秘めたる事実や、世人の注目を受けない、貴重な労作などこの機会に綴られるとすれば、我らの音楽が将来に向かって、いかに豊潤を受けゆることであろう。
これ等の実質的な考察に依つて如何にして繁栄的なギター音楽を持ち得るかの示唆を得ることも出来よう。
我らは一により正確な、そして真実の上に綴られてこそ意義あるものとなる。
我らは之を広く求め、それを公表し、進んで外国語にも移して、海外に紹介しギター顕揚の一助たらんことを期す次第である。
僅少な賞金なれど趣意に賛同し、振つて参加を乞い度い。
また大方よりの「日本ギター音楽史」に資さるべき材料など、持ち合わせられる向きは、好意的にご提供くださらんことを希望してやまない。




[*転記]:Digital Guitar Archive/1939-74-Armonia P.65
日本ギター音楽史 アルモニア編集部
[募集規定]
1. 題目は「日本ギター音楽史」とし、内容は本題目に対して自由なるも、ギターの渡来より各種の交渉、現代に至る発達史的な述作を要望す。
2. 原稿は四百字詰、三枚以上とす。
3. 募集締切は九月十日。発表は本誌上にて。
4. 応募者は誌友以外にても差し支え無し。
5. 宛名 仙台市荒町~~(*詳細住所は削除)澤口氏方 仙台アルモニア編集部とし、応募原稿と朱書の上害留郵便となす事。
6. 応募原稿は一切返却せず。
7. 当選原稿は筆者の同意の下に改訂する事あるべし。
8. 当選原稿無き時は中止とす。
9. 当選原稿は一篇とし著作権は仙台アルモニアに帰属する。
10. 審査は当編集部に於いてなす。
11. 賞金 金二十円(一名)ただし都合により分割することあるべし。
   *******************************
日本ギター音楽史に関係すぺき資料を求む大方諸彦に於いて、右の材料何なりと当編集部までご提出願い度い。
秘話、隠れたる事実等。有意義な御提出の向きには薄謝を呈し度い。



[*転記]:Digital Guitar Archive/1939-77-Armonia/P.174
日本ギター音楽史の中止   アルモニア編集部
今春本誌74号(27ページ通頁65ページ)にて募集を発表せる頭書の原稿は、誠に残念ながら期日たる9月10日まで一篇の応募もなく、依つてやむを得ず中止と決定した。
本募集企画については、大方諸彦より多数の賛成を得たに拘わらず.応稿者を得ず中止とせるは全く当編集部として心惜しく思う。
2、3の応募希望者があったが、遂に期日までの送附が無かったのである。
文題は斯界に封する相当の用意と理解力があれば、決つして難しいものとは思はないが、実際的取扱いにおいては資料の不足が困難なものとしたようである。
ギター音楽の過後期にあるように思われる吾日本のギター界は、現在が真実のギター音楽史を始めつつあるのであろう。
然し之までのギター音楽が、吾々に如何に受入れられたかは、決つして忘失されてはならない。
その意味でも「日本ギター音楽史L」は意義あるものとなる。
吾々は今回単なる小額の懸賞募稿となし、それを中止したが、今後何時、何人かに依つて豊富な資料と的確な観察により書かれねばならぬと思うのである。
それを吾々の誌に迎える時あるものと期待して、今回の中止を報告する次第である。
(澤口生)

[*転記]:Digital Guitar Archive / 1939-77-Armoni P.174より





『マンドリン、ギター及其オーケストラ』 単行本

『マンドリン、ギター及其オーケストラ』 単行本
『マンドリン、ギター及其オーケストラ』 単行本
  『マンドリン、ギター及其オーケストラ』 単行本
  記事530ページ/著者:武井守成[Morishige Takei]
  発売元:共益商社

・現代楽器音程表一葉
・ギター及マンドリンの楽器としての史的考察(武井守成[Morishige Takei])
・ギター音楽小史(武井守成[Morishige Takei])
・マンドリン音楽小史(武井守成[Morishige Takei])
・ギター研究(習得法)(武井守成[Morishige Takei])
・オーケストラ研究(武井守成)
・小合奏研究(武井守成[Morishige Takei])
・マンドリニストへの12講(菅原明朗[Meiro Sugahara])
・コンコルソ略解(武井守成[Morishige Takei])
本邦斯界過去現在
・付録「オルケストラ・シンフォニカ・タケイ」10年回顧

マンドリンギター研究 1月号
1925年(大正14年)1月1日号掲載



『ギターとその智識』 単行本


『ギターとその智識』 単行本
『ギターとその智識』 単行本
  『ギターとその智識』著者:小原安正[Yasumasa Obara]    発行所:ギタルラ社

1949年11月10日発行


『我々のギターに限らず、不幸な現在ではあらゆる意味で文盲の人を生んでいる。
セゴビア来朝以来、僅か20年の本邦ギターは、戦前と戦後を問わずギターを知る人の極めて少ないのは否定できない。
これは一種の文盲と呼ばるべきものである。
著者はこの小著によってできる限り、その智識を得せしむる為の努力を書した。本邦のギター史はその好例である。
我々はギターを知ることにこの上ない喜悦を覚える。この喜悦はさらに一歩進めてギター音楽の芸術にまで達せねばならぬ。
この小著によって諸氏は一つの同期を得てくだされば幸いである。
本邦ギター史は武井守成先生のご努力によったメモで作られた。 私はただ、筆記したに過ぎない。なお、生原 優氏からも多分のご協力を仰いだ。
心からなる謝意を表して序にかえる。
昭和24年10月  著書識』


目次
ギター小史/ギター大家/日本ギター史/ギター製作家/現代ギタリスト/中等講座/特殊奏法/用語解説/参考文献

[*表紙画像]野村ギター教室WEBサイト 資料室:資料集(16)より

『ギタリストの余韻』 単行本

『ギタリストの余韻』 単行本
『ギタリストの余韻』 単行本

1988年10月31日 刊行 音楽の友社



『ギターの歩み 《戦後編》』 単行本

『ギターの歩み 《戦後編》』 単行本
『ギタリストの余韻』 単行本

1989年10月31日 刊行 現代ギター社



『写真で見る日本ギター史』 単行本

『写真で見る日本ギター史』 単行本
[*挿画]『写真で見る日本ギター史』 単行本
発行: 現代ギター社【GG番号】GG090

ギターが日本に伝来した明治から現代までの日本ギターの歴史を記録する貴重な写真を多数収録。 主要来日ギタリスト,主要作曲家,現代の製作家,主要研究・評論家,現代のギタリスト,わが国ギターの歩み,年表,人名索引。 現代ギター創刊25周年記念出版 安達右一・監修

  • まえがき
  • 明治時代
  •     1877~
        1900~
  • 大正時代
  •     1920~
        1925~
  • 昭和前期
  •     1929~(セゴビア来日)
        1930~
        1935~
        1940~
  • 昭和後期
  •     1945~
        1950~
        1960~
        1970~
  • 平成時代
  •     1989~
  • 主要来日ギタリスト
  • 主要作曲家
  • 現代の製作家
  • 主要研究・評論家
  • 現代のギタリスト
  • わが国ギターの歩み
  • 年表
  • 人名索引
  • あとがき

1992年 発行: 現代ギター社



『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』 単行本


『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』 単行本
『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』 単行本
  『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』

『三味線がギターに変わった日ギターは黒船とともにやってきた。』
ギターが、明治時代にはじめて日本に伝わり、根付いていくまでの様子を描く。当時の貴重な歴史はもちろん、行なわれたコンサートや残されている書物・手紙などから先人たちの心の動きまでも読み取れる一冊。
さらに近代日本の西洋音楽史についてもふれ、ギター史と西洋音楽史の両方にとって貴重な本。

日本人にとって「三味線がギターに変わった日」。
【『ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』目次】

《 第1章 ギター渡来前史 》
・近代日本の「西洋音楽」は、黒船の上で聴いたアメリカ音楽から始まった
・日本人とギターの前身との出会いは、キリシタン弾圧の中で消えて行った
・「ミンストレル・ショー」に興じた幕末の武士たち
・アメリカからギターを持ち帰って弾いた平岡熈の壮大な仕事
・すべては比留間賢八の精力的なマンドリン普及から始まった

《 第2章 西洋音楽が街にやってきた 》
・日本人が最初に聴いたモーツァルトは、吹奏楽の演奏だった。
・画学生だった菅原明朗が作曲家への道に踏み出すまで
・ロンドンから帰国した青年・太田黒元雄のサロンが拓いた世界
・『音楽と文學』の創刊と「東京音楽学校」への反撥
・「浅草オペラ」と「セノオ楽譜」、そして「楽譜絵葉書」
・本物のオーケストラ結成で変わる「吹奏楽」と「マンドリン合奏」の役割

《 第3章 ギターに魅せられた人々と、セゴビアの奇跡(中扉) 》
・イタリアの街角でギターの音色に魅せられた武井守成の帰国
・サルコリの指導で明らかになった独奏楽器としてのギター
・「演奏家」として挫折してしまった人々
・セゴビア来日を待つ日本の若きギター愛好家たち
・ついに実現した「セゴビア来日」は、第二の「黒船襲来」に匹敵した
・流行歌作家・佐藤惣之助をめぐる二人のギター青年の「人生劇場」

《 第4章 武井守成とマンドリン・オーケストラ 》
・マンドリン合奏コンクールを創設した武井守成の情熱
・演奏家として挫折した武井守成が「作曲家として」生きた半生
・作曲家・武井守成の作風についての菅原明朗の指摘が伝えるもの

《 第5章 幻のギタリスト池上冨久一郎 》
・黎明期のギター奏者、池上富久一郎と武井守成の出会い
・デタラメか? 天才か? 武井を困惑させた作曲家池上の全貌
・ついに明かされた池上冨久一郎の「ギター曲」を聴く

《 第6章 大河原義衛の早すぎた死と、沢口忠左衛門 》
・大河原義衛の早すぎた死を悼む人々
・大河原義衛の作品を出版した「仙台アルモニア」の活動
・大河原の残したものを受け継いだ沢口の死期を早めたもの

《 第7章 小倉俊と中野二郎の執念と、その成果 》
・大河原への同志的共感を持った小倉俊
・小倉俊の「ギターの音」へのこだわりが日本的和声の探求に連なった
・「楽譜が私の師」と言う中野二郎の収集した楽譜の行方

《 第8章 戦争で失われた未来と、新たに芽吹いた響き 》
・若くして戦死した悲劇のギタリスト小栗孝之と深沢七郎を繋ぐ小倉俊
・空襲の被害から守られた武井守成の厖大なコレクション
・小船幸次郎が解明したセゴビアのギターの秘密とその継承
・『黎明期の日本ギター曲集』をめぐる「忘れ残りの記」

[出版社]ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス/公開日2010/12/22

■著者について
竹内 貴久雄(たけうち・きくお)[Kikuo Takeuchi]
音楽文化史家、音楽評論家、書籍編集者。1949 年生まれ。
詳細な調査を行なって解説したCD『黎明期の日本ギター曲集』(演奏:山下和仁、日本クラウン)が文化庁主催芸術祭大賞を受賞して以来、近代日本の西洋音楽受容史に深く関心を持って研究を続けている。
レコード・CD コレクターとしても著名で、その収集の成果は、演奏スタイルの変遷を踏まえたクラシック音楽評論として、独自の視点を示している。
著書に『唱歌・童謡100の真実』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)、『コレクターの快楽―クラシック愛蔵盤ファイル』(洋泉社)、共著に『名曲への旅』(音楽之友社)、『クラシック反入門』(青弓社)、編著に『クラシック名曲名盤事典』(ナツメ社)、『歴伝・洋楽名盤宝典―精選「LP 手帖」月評』(音楽出版社)ほか。
CD 解説も、演奏史を踏まえた視点から多数執筆している。


m(__)m 上記はすでに「絶版」になってるようで、現在販売されているのは「ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史」になっています。
YAMAHA2022-05-27_02



『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』 文庫本


『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』 文庫本
『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』 単行本
  『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』

ギターが、明治時代にはじめて日本に伝わり、根付いていくまでの様子を描く。
当時の貴重な歴史はもちろん、行なわれたコンサートや残されている書物・手紙などから先人たちの心の動きまでも読み取れる一冊。
さらに近代日本の西洋音楽史についてもふれ、ギター史と西洋音楽史の両方にとって貴重な本。日本人にとって「三味線がギターに変わった日」。

<目次>
◆第1章 ギター渡来前史
◆第2章 西洋音楽が街にやってきた
◆第3章 ギターに魅せられた人々と、セゴビアの奇跡
◆第4章 武井守成とマンドリン・オーケストラ
◆第5章 幻のギタリスト池上冨久一郎
◆第6章 大河原義衛の早すぎた死と、沢口忠左衛門
◆第7章 小倉俊と中野二郎の執念と、その成果
◆第8章 戦争で失われた未来と、新たに芽吹いた響き

※本書は2010年刊行『ギターと出会った日本人たち~近代日本の西洋音楽受容史~』(小社刊)を加筆・修正し文庫化したものです。
[初版]2022年6月10日/ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

これらを元に、私なりにネット検索を駆使し、ペリー提督の横浜来航ぐらいから、日本国内の1930年代生誕までのクラシックギタリスト系譜、当時の時々のギタリストたちの活動をネット情報のもと紹介・作成していこうと思います。