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Isaac Albeniz:Pavana Capricho Op.12
このホームページ作成の動機・内容について
明治時代における『西洋音楽の受容』の研究論文と書籍に関しては充実してきており、インターネットでも関連情報をかなり詳しく調べることができるようになりました。
『マンドリン』の日本における歴史は、多くのマンドリン関係者方々の努力により、明治期・大正期・昭和初期までのマンドリン歴史が作成されています。
例えば
『QAZのマンドリンと旅行の小部屋』中の、「マンドリン玉手箱/マンドリン関係の書籍」。
『Circolo Mandolinistico FLORA』の「田中常彦が遺したスクラップブック」/「収蔵資料」による田中常彦氏の活動内容。
『慶応義塾大学マンドリン学生団体マンドリンクラブ』OB:萩原正弘氏のKMC百年史余話~毛虫たちの青春(明治・大正編)。
「一般社団法人日本マンドリン連盟ホームページ」では、工藤哲郎副会長氏が編纂している「マンドリン略史」をホームページにて機関誌 JMUジャーナルに『マンドリン略史』として公開しています。
そこには、日本の洋楽受容から現代史(大学マンドリンクラブ・社会人団体[全国]・マンドリン団体総集編)が纏められています。
出版「CD」では『田中常彦の生涯-堀 雅貴(マンドリン)』鈴木大介(ギター)、草間葉月(ピアノ)で、日本で最初のプロマンドリニストとして活躍した田中常彦氏を紹介しています。
一方、クラシック・ギター界では、『日本におけるクラシックギター音楽受容史』に関する纏まった掲載など見受けられないのは残念なことです。
私の調査範囲では、日本における古い時代の「クラシック・ギター」歴史を表舞台に引っ張りだしたのは、1999年に山下和仁氏の演奏CDによる解説依頼をきっかけとして、竹内 貴久雄氏が書き下ろした書籍が最初ではないか?と思います。
その1999年に録音された、山下和仁氏が演奏された曲目を紹介させていただきます。
演奏録音した『CD』は、2枚あります。
1枚目が「黎明期の日本ギター曲集」:1999年[ 組曲“花束”(1929)[大河原義衛(作曲)、武井守成(作曲)、沢口忠左衛門(作曲)、小倉 俊(作曲)、中野二郎(作曲)、池上冨久一郎(作曲)]
[曲目]
1 花束 [組曲] 作曲:大河原義衛
2 五つのギター独奏曲 作曲:大河原義衛
3 聖夜 作曲:大河原義衛
4 軒訪るる秋雨 作曲:武井守成
5 小舞曲 作曲:武井守成
6 落葉の精 作曲:武井守成
7 いりあひ 作曲:武井守成
8 木蓮ありて 作曲:武井守成
9 やどかり 作曲:武井守成
10 念誦 作曲:武井守成
11 柴垣 作曲:武井守成
12 糸を操る女 作曲:武井守成
13 黄色の花 作曲:武井守成
14 星を見る 作曲:武井守成
15 DANZA 作曲:沢口忠左衛門
16 アルバム・デ・ムジカ・ナシオナル第1番 作曲:小倉俊
17 毬つき遊び 作曲:中野二郎
18 秋の感傷 作曲:中野二郎
19 丘の教会堂 作曲:中野二郎
20 惜春賦 作曲:中野二郎
21 ソナチネ 作曲:小船幸次郎
22 月下の逍遥 作曲:池上冨久一郎
23 秋の踊り 作曲:池上冨久一郎
24 一つの道へ 作曲:池上冨久一郎
25 春の望み 作曲:池上冨久一郎
26 春の踊り 作曲:池上冨久一郎
[英語]
- Yoshie Okawara (1904-35):”A BOUQUET” (Suite : Matsumushi – Flower, Song of hydranga, Dance of Oriental Popy, Mongolia in the evening, Bolelo Amaryllis ) “Cinco pezas originales”( La Samiseno, Danza grotesca , Nocturne , El insecto (marcha) , Luz de calle (Preludio) , Heilige Nacht )
- Morishige Takei (1890-1949):La Caduta della Pioggia, Op.11 , Piccola Danza, Op.12 , Spirit of falling leaves, Op.27 , Tramonto, Op.54 , Con la Magnolia,Op.65 , Le Crabe Ermite, Op.83 , –Nenju– Invocazione al Budda, Op.84 , Brushwood Fence, Op.88 , La Filatrice, Op.95 , Fiore Giallo, Op.109 , Contemplando le Stelle, Op.11
- Chuuzaemon Sawaguchi (1902-48):DANZA Op.12 (1930)
- Shun Ogura (1901-77):Album de musica nacional No.1(No.1 Preludio , No.2 Kusimotobusi , No.3 Magouta) J
- iro Nakano (1902-2000):Juego de Pelotilla, Op.12 , Sentimento de Otoro, Op.25 , LA IGLESIA SOBRE LA COLINA, Op.29 , Canto de Primavera tarde, Op.58
- Kojiro Kobune (1907-82):Sonatina dela Guitare
- Fukuichiro IKegami (1903-54):Valse , Galoppo , Hitotsu no michi e , Haru no nozomi , Haru no odori
Rec. – December 1998 [CROWN]CRCC-31
2枚目が「黎明期の日本ギター曲集Ⅱ:2002年[大河原義衛 (作曲), 小栗孝之 (作曲), 武井守成 (作曲), 小倉俊 (作曲), 菅原明朗 (作曲), 小船幸次郎 (作曲), 中野二郎 (作曲), 池上冨久一郎 (作曲) ] です。
[曲目]
1. 前奏曲第四番 作曲:小倉俊
2. 静に揺らぐ月影 作曲:中野二郎
3. 物語り 作曲:池上冨久一郎
4. 落葉 作曲:池上冨久一郎
5. 灯點し頃 作曲:池上冨久一郎
6. 歔欷 作曲:池上冨久一郎
7. 香煙 作曲:大河原義衛
8. 前奏曲 作曲:大河原義衛
9. 練習曲 作曲:大河原義衛
10. クライスラーへの讃歌 作曲:大河原義衛
11. ESTUDIO(1940頃) 作曲:小栗孝之
12. 野遊び(1919) 作曲:武井守成
13. 即興曲(1924) 作曲:武井守成
14. 遅日の丘(1941) 作曲:武井守成
15. 無言詩(1943) 作曲:武井守成
16. 大利根(1944) 作曲:武井守成
17. 銀鱗(前奏曲)(1945) 作曲:武井守成
18. 萬花鏡(1946) 作曲:武井守成
19. トリーノの思い出(1946) 作曲:武井守成
20. 或る夜(1947) 作曲:武井守成
21. アラ・ロンターナ(1951) 作曲:菅原明朗
22. 夜想曲 作曲:小船幸次郎
[英語]
Shun Ogura (1901-77):Preludio ( num.4 )
Jiro Nakano (1902-2000):La lune calme de l’automne op.17-4
Fukuichiro Ikegami (1903-54):Monogatari, Nocturno, Piccola fantasia,Nocturno
Yoshie Okawara (1904-35):Koen, Preludio, Etude, Hymn for Kreisler
Takayuki Oguri, (1909-44):ESTUDIO
Morishige Takei (1890-1949):Passeggiata Campestre Op.2, Impromptu Op.8, Osservando la Collina in fine di, Primavera Op.51, Romanza Senza Parola Op.73, Fiume “Tone” Moto perpetuo Op.82, Silver Scale (Prelude) Op.91, Caleidoscopio Op.98, Ricordo di Torino Op.102, Soir Op.106
Meiro Sugahara (1897-1988):Alla Lontana
Kojiro Kobune (1907-82): Nocturno (Musical Essay)
Rec. – December 2001 [CROWN]CRCC-34
1枚目の発売CDに付随して、書籍が発刊されました。
[*1]のために書き下ろされた竹内 貴久雄著:『1999年刊行:ギターと出会った日本人たち 近代日本の西洋音楽受容史』、約10年後の文庫版として出版された『ギターから見た近代日本の西洋音楽受容史』。
この2冊が、調査範囲では「日本における、古いクラシックギター界」を記述した記録史に該当するように思います。
その他には、「古いギタリスト達が演奏録音されたCD」を元に記述された紹介文などは、ギター愛好家、関連楽器演奏家の方々の「WEBサイト」:(武井守成・大河原義衛・小倉俊・溝淵幸五郎などの演奏者紹介)で散見されますが、連綿とした記録に出会え無い現状があります。
クラシックギターはマンドリンの伴奏楽器から独奏楽器へと移行しました。
いろいろ公開されている日本の『西洋音楽受容の歴史』をみましても、オルガン・ピアノ・ヴァイオリンなどの楽器の受容は早く(音楽取調係:1877年に「10 台」のピアノ導入)、唱歌教育の一環として、小学校での音楽教育が重視されピアノなどは唱歌伴奏として早期導入されており、家庭ではオルガンが弾かれるようになっていきました。
それらの楽器類と比べて、日本の『ギター』歴史は浅く、『1901年に比留間賢八がアメリカよりマンドリンとギターを持ち帰り、マンドリン・ギター教室を開いている。以後その普及に尽力し、日本のマンドリン音楽・クラシックギター音楽の源流となった』 とある。
またギターをマンドリンの伴奏楽器として使用した最初の人物については、具体的な名前を特定するのは難しいですが、日本においては武井守成(たけい もりしげ)が重要な役割を果たしています。『1915年9月26日、田中常彦とマンドリン・アンサンブルを始め、ギターのパートを受け持つ』。とあり、これにはアドルフォ・サルコリからの影響が大きかったようです。 https://www.digitalguitararchive.com/2020/07/the-study-of-mandolin-and-guitar/ ように、楽器のハード面の受容差として「24年間」、教則本・専任教授など、ソフト面の受容差で申しますと、アンドレス・セゴビアが初来日した1929年に色々なことに目覚め始めました。ギター奏法の確立、教則本での啓蒙および、教則本の統一化、教授法の統一化を目指した時期です。 マスメディアによる影響も見逃せません。NHK教育テレビ「ギター教室」、東京音楽アカデミーの通信教育などで、全国的な広がりに繋がり、各地域のギター教室での生徒の増加に繋がった時期。1960年代~1970年代が一般的に安定したクラシック・ギターとしての音楽受容時期だと考えます。(昭和初期からの「古賀メロディー」をギターで奏でる時期も有りました。)
とすれば、「約83年~93年」の文化的開き(他のオーケストレーション楽器たちと比較して)が発生しているのではないでしょうか?(すこし乱暴すぎるますかね)
クラシック音楽界からみますと、2世代ほどの開きがあるので、ギターは、まだまだ『ひよっこ』の世界でしょうか。
1960年代~1970年代当時、アメリカでは1954年~1958年頃まで「ロカビリー」が盛んで、日本においては1957年~1961年にかけて「和製ロック」ブーム、そののち「フォークギターブーム」、頃同じくして「エレキギターブーム」がありました。
テレビ・新聞・雑誌などが「こぞって」大きく取り上げていましたね。
いま「一つの楽器(クラシック・ギター)」の歴史を眺めているのですが、、その時代の有り様、外部からの影響、その時々の人間模様など。様々な景色が目の前に現れます。
さて、ここから、当「WEBサイト」起ち上げ動機についてお伝えします。
ある朝、父が昔々持っていた楽譜があったかも知れない。と思い、探し出したところ、1冊だけが有りました。 「酒井富士夫編:ギター独奏 六十世界名曲集/1948年(昭和23年)3月25日発行」の楽譜です。
まだ他にも有った筈でしたが、度々の引っ越し、子供たちの成長に伴う書籍などの整理で廃棄したことを思い出しました。今から思うと貴重な楽譜を廃棄してしまったことを後悔しています。父にも申し訳ないことをしてしまいました。
「酒井富士夫」編曲。この検索を調査し始めたのが最初でした。検索結果は、「Armonia「アルモニア」-Digital Guitar Archibe」、検索結果の下に小さく表示されている文言:[... ...者のマンドリン音楽雑録編輯後記挿書 ピール・ヴァン・エス氏楽譜 ... 酒井 富士夫新刊展望 ...澤口 忠左衛門アルモニア楽譜紹介ラ・ノータ(十 ... ]が表示されたのです。次の段階です。
そのページから判明したのは、アメリカ/テキサス州在住:[ロバート・コールドウェル氏:Robert Coldwell]が運営しているWEBサイト[Digital Guitar Archive/Journals/Japan]で掲載されている『古い日本のマンドリン・ギター雑誌』の中に表示された名前でした。
この「日本の古い情報雑誌」を1枚1枚読み進めていくと、当時のギタリスト達の若かりし頃の写真とか、その方たちが何を思い、何をしたかが克明に記述されています。 『きわめて限られた情報だが、集め系統立てればある程度の所までは纏まるのではないか?』。朧気ながら外殻がつかめるようになり、構想がぼんやりとではありますが生まれました。これが、当「WEBサイト」作成の動機でした。
この「古い雑誌[PDF]」それぞれに記述された内容は目新しく、当時の方たちの在り様が生々しくもあり、音楽評論家のある方においては、「罵詈雑言」堂々と、何のおくめもなく論評として掲載しているところが有ったりと、驚きの連続です。
話が大きく逸れましたが、ギターの揺籃期(幼児期)から最盛期と呼ばれた時代に活動された、ギタリスト・関係者(音楽評論家・作曲家・編曲家・作詞家・ギター製作家)の歴史を「Digital Guitar Archive」※1]のPDF資料をもとに作成することにいたしました。(古いギター情報誌からの[*転記]部分は[MSP明朝体]で表記しています。)
※1]くれぐれも、誤解が無いように記述させて頂きますが、『当WEBサイト』の内容は「上欄の古いギター情報誌」を元に「転記/引用」している部分が大半です。
当WEBサイトの内容は、あくまで「クラシック・ギター」に少しでも携わっておられる方々の、明治時代から大正時代そして昭和時代初期、戦後の昭和期、までのギタリストの紹介、共に熱き思いで活動し支えた方々を礼讃し、これからその方たちの活動研究をされる方への「道標/入口」としての取り扱い。だとご理解ください。
歌手の中島みゆき女史が歌う「糸」の『縦の糸はあなた、横の糸はわたし』「あなた」と「わたし」、どちらの糸に該当するのかは判りませんが、縦糸なり横糸なりを掲載していきますのでご覧いただく皆様に、自由に「織りなして」頂けると光栄です。
「掲載雑誌」および、「ネット検索」での調査ですので、不明な点がたくさん在ります。「挿画:写真」では雑誌掲載の写真が「小さすぎる/印刷が粗すぎる」など難題が多く、写真のご本人様、並びにご家族、関係者の皆様には不快に思われる点が多々あろうかと思いますが、その点は容赦願います。[多くの写真は画像強化ツールで解像度をあげて処理を施しております]
また、「掲載写真」だけで、ご本人の「生年・没年・経歴など」が不明・・・この場合は、「??」にしております。 「古い雑誌」の記事からの「引用/転載」ですので、大御所の方でもギターコンクールに応募・入賞時までの経歴しか見当たらなく詳細未掲載。等がございます。 この場合、該当記事時までの経歴および、経歴等が不明時には該当者に関連する記事内容を掲載する。等です。 今後、新たにデータが見つかれば掲載していく予定です。 掲載されている内容で、お気づきの点がございましたら、いつでもご連絡、情報の提供のほどをお願いいたします。 この「序文」の最後に 「当WEBサイト」掲載するにあたり、ご協力いただきました、アメリカ・テキサス州のRobert Coldwell氏に深く感謝申し上げます。
[※]Robert Coldwell氏につきましては、『現代ギター』Vol.56 No.9 September 2022 No.708
「特集 ルイジ・サグリーニ~忘れられたヴィルトゥオーゾ」に執筆されています。[翻訳:渡邊弘文]
[*挿画]:『現代ギター』Vol.56 No.9 September 2022 No.708/P.20より